始める前に要るもの — 何もない状態から60分をどう使うか
次のレッスンから、社長自身が実物を触る60分が始まります。ただしアカウントも社内のルールも無い状態では、その60分は始まりません。ここは「AIを入れよう」と決めた会社が最初につまずく場所です。先に何が要るかを確認します。
図:始める前の分岐。欠けている項目があるのは普通のことです。その場合、最初の60分は「試す」ではなく「試せるようにする」時間になります。順番を飛ばすと、私物アカウントに顧客情報を入れる事故が起きます。
そろえる4つ
| 要るもの | なぜ要るか | 無いとどうなるか |
|---|---|---|
| 会社として契約したアカウント | 入力した情報の扱い、保存期間、削除方法を会社として確認できる | 私物契約で始まり、顧客情報の行き先を会社が把握できない |
| 入力してよい情報の線引き | 担当者がその場で迷わない | 判断が個人任せになり、事故が起きるまで気づけない |
| 試す材料 | 実データを使わずに誤り方を観察できる | いきなり本番データで試し、止められない失敗をする |
| 触る人 | 社長1人だと継続しない | 試行が社長の個人的な趣味で終わる |
最低限の線引きは3行で足ります。「顧客名・個人情報・未公開資料・パスワードは入力しない」「メール送信・公開・削除・支払は人が行う」「迷ったら止めて相談する」。完璧な規程を作ってから始める必要はありませんが、この3行が無いまま実データに触るのは避けてください。
私物アカウントで始めない
個人契約のサービスは、入力した情報の保存先や扱いを会社が確認できません。試すだけなら問題が無いように見えますが、一度その運用が定着すると、あとから会社の管理下へ戻すのは困難です。最初の1回目から会社の契約で始めるほうが、結果的に速くなります。
契約時に確認する項目は、送信先の事業者、保存期間、学習利用の有無、削除方法、再委託先、事故時の連絡経路です。ここは第4回でもう一度扱います。
そろっていない場合の60分
- 10分 — 会社として使うAIサービスを1つ決める(比較は後でよい。まず1つ)
- 20分 — 上の3行の線引きを書き、関係者へ共有する
- 20分 — 架空データを作る(実際の様式で、中身だけ架空にする)
- 10分 — 触る人を社長+1名で決め、次に集まる日を決める
これが終われば、次の60分で実物を触れます。ここを飛ばして先に進もうとすると、結局この4つを探す時間が後から発生します。
もっと詳しく知りたい場合
社内規程、リスク管理、部門別の展開は、企業 AI 研修(管理職・経営者向け)で扱っています。この講座では、最初の1業務を始めるのに要る最小限だけを扱います。
出典・クレジット
- NIST: AI Risk Management Framework — 影響度に応じて統制を変える、権限を必要最小限にする、停止と人の関与を設計するというリスク管理の考え方。
本文は上記を事実確認の参考にした自社作成で、外部素材の転載はありません。
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