AI Agentに何ができて、何ができないか
AI Agentは、目標を渡すと自分で情報を集め、下書きを作り、根拠を示して人に返してくるところまで進みます。一問一答で答えるだけの道具ではありません。ここを知らないまま候補を選ぶと、「文章を書かせる」程度の使い方で止まります。
flowchart LR
A["目標を受け取る<br/>何が完成条件か"] --> B["情報を集める<br/>社内資料・過去案件・記録"]
B --> C["下書きを作る"]
C --> D["根拠を示す<br/>どこを見てそう言えるか"]
D --> E["人へ返す<br/>承認・修正・送信は人"]
D -.->|"根拠が見つからない<br/>対象外に当たる"| F["止めて人に聞く"]
図:AI Agentが1件の仕事で通る流れ。経営者が見るべきは右側の2つです。根拠を示せるか、危ないときに止まるか。ここが設計されていない導入は、速いけれど確かめられない状態になります。
いま、特別な開発なしにできること
以下はいずれも下書きまでで、送信や確定は人が行います。
| やらせること | 今までの状態 | AI Agentに任せた状態 |
|---|---|---|
| 問い合わせの回答案 | 担当者が過去メールを探して書く | 承認済みの過去回答を探し、参照箇所つきの回答案を数十秒で出す |
| 日報・報告書の点検 | 読み切れず、異常は事後に発覚 | 100件から不具合や苦情の兆候を拾い、根拠の行を示して一覧にする |
| 見積・契約の突き合わせ | 担当者の記憶と経験に依存 | 過去案件と条件を照合し、抜けている項目を指摘する |
| 会議の準備 | 前日に各自が資料を集める | 関連データを読み、リスク案件と根拠リンクを並べた資料案を作る |
| 議事録から次の行動へ | 記録は残るが実行に落ちない | 決定事項・担当・期限を抽出し、抜けを質問として返す |
共通するのは、「探す・突き合わせる・下書きする」の3つです。人がやると時間がかかるが、正解の形が決まっている仕事に向きます。
できないこと
同じだけ重要です。
- 正しさの最終判断。 出力が正しいかは、記録と突き合わせて人が決めます。
- 責任を伴う意思決定。 採否、契約、支払、公開、削除は人が確定させます。
- 記録に無い事実の補完。 社内に記録が無いことは答えられません。ここで無理に答えさせると、もっともらしい間違いが混ざります。
だから「分からないときは分からないと言わせる」設計にします。根拠が見つからないときに止まって人に聞く仕組みがあるかどうかが、使える導入と危ない導入の分かれ目です。
もっと詳しく知りたい場合
仕組み、セキュリティ上の危険、コストの考え方は、AI Agent 入門:仕組みとセキュリティの基礎で扱っています。この講座では、社長が判断するのに必要な範囲だけを扱います。操作や技術の詳細を社長が覚える必要はありません。
出典・クレジット
- Anthropic: Building effective agents — AI Agent が目標を受けて情報や道具を使い、結果を検証しながら作業を進める構造と、人へ戻す分岐を置く設計の考え方。
本文は上記を事実確認の参考にした自社作成で、外部素材の転載はありません。
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