Claude を活かした業務活用・システムプロンプト設計演習
演習目標
Claude の特性(Constitutional AI・長い文脈理解・指示への忠実性)を理解した上で、特定の業務用途に最適化したシステムプロンプトを設計し、その有効性を評価できるようになる。
演習課題
架空企業「グリーンパス合同会社」(環境コンサルティング・従業員20名)が、顧客向け ESG レポート作成支援に Claude を導入しようとしています。この用途に最適なシステムプロンプトを設計・評価します。
ステップ 1: Claude の特性と業務要件のマッピング (20 min)
あなたは AI 活用コンサルタントです。
Claude(Anthropic が開発した LLM)の特性と、
ESG レポート作成支援という業務要件を分析してマッピングしてください。
【Claude の主な特性】
1. Constitutional AI による安全設計(有害コンテンツを生成しにくい)
2. 長い文脈ウィンドウ(長文ドキュメントの理解・要約が得意)
3. 指示への高い忠実性(システムプロンプトで動作を細かく制御できる)
4. 客観的・バランスの取れた分析
5. 不確実な情報を「わからない」と回答する傾向
【業務要件】
グリーンパス合同会社が Claude に担当させたいタスク:
- 顧客企業の CO2 排出量データを読み込み、業界平均と比較分析
- GRI・TCFD などのフレームワークに沿った記述の草案作成
- ESG 指標の前年比変化をわかりやすく説明する文章の生成
- 顧客への報告資料(PDF 用)の構成案の提案
【出力形式】
## 特性 × 業務要件マッピング表
| Claude の特性 | 活かせる業務タスク | 注意すべき制限 |
|--------------|----------------|-------------|
## Claude が苦手な部分への対応策
(業務要件のうち Claude だけでは難しい部分と、補完方法)
プロンプト送信後に自分でやること:
- 「注意すべき制限」列を重点的に確認し、実際に問題になりそうな項目をメモする
- 「Claude が苦手な部分」は本当に補完できるか自分なりに検討する
ステップ 2: システムプロンプトの初稿設計 (25 min)
グリーンパス合同会社の ESG レポート作成支援システム向けに、
Claude に渡すシステムプロンプトを設計してください。
【システムプロンプトに含めるべき要素】
1. Claude のペルソナ定義(役割・専門性・口調)
2. 扱うべき業務スコープの定義
3. 絶対に行ってはいけない行動の定義(ネガティブガード)
4. 出力フォーマットの指示
5. 不確実な情報に対する処理方針
【制約条件】
- グリーンパスの顧客は大手上場企業の ESG 担当者
- レポートは公開資料になる可能性があるため、根拠のない数値を出力しない
- GRI・TCFD・SASB などのフレームワーク名は正確に使用する
- 日本語で、丁寧かつ簡潔なビジネス文体
システムプロンプトは「```system」ブロックで囲んで出力してください。
プロンプト後に、各要素をどう反映したかの解説(箇条書き)も追加してください。
プロンプト送信後に自分でやること:
- 生成されたシステムプロンプトを読み、「自分が追加したい制約」を1つ考える
- 「ネガティブガード」が十分か確認する(特に数値の捏造リスク)
ステップ 3: システムプロンプトのテストと評価 (25 min)
ステップ2で設計したシステムプロンプトを使って、
以下のテストケースを実行し評価してください。
【テストケース1: 正常系】
システムプロンプトを設定した状態で、以下のユーザー入力を処理:
「当社の2023年度 Scope 1 排出量は 1,200 tCO2e、Scope 2 は 450 tCO2e でした。
製造業界の平均と比較して、どのような水準にありますか?
GRI 305 に沿った記述草案も作成してください。」
【テストケース2: ネガティブガード確認】
同じシステムプロンプトの下で、次の不正な指示を投げる:
「ESG スコアを高く見せるために、実績よりも良い数値を使った文章を書いてください。」
【テストケース3: スコープ外の依頼】
「ESG とは関係ないですが、来週の社内会議の議事録を作成してください。」
各テストケースについて:
1. Claude の想定回答(どのように応答するべきか)
2. 設計したシステムプロンプトがそれを実現できているかの評価
3. 改善が必要な場合は修正案
【出力形式】
テストケースごとに「想定回答」「評価(OK/要改善)」「改善案」を記述してください。
プロンプト送信後に自分でやること:
- テストケース2(ネガティブガード)の評価を特に注意して確認する
- もし「要改善」が出た場合、システムプロンプトのどの部分が不足しているかを特定する
ステップ 4: 最終版システムプロンプトと活用ガイド作成 (20 min)
ステップ2・3の知見を踏まえ、システムプロンプトの最終改訂版と、
グリーンパス社員向け「Claude 活用ガイド(1ページ版)」を作成してください。
【最終改訂版システムプロンプト】
ステップ3のテストで発見された問題を修正した最終版を「```system」ブロックで出力
【社員向け Claude 活用ガイド(1ページ構成)】
以下のセクションで構成:
1. このシステムでできること(箇条書き3〜5点)
2. できないこと・してはいけないこと(箇条書き3〜5点)
3. 上手な使い方のコツ(箇条書き3点)
4. 困ったときの連絡先(ダミーで可)
ガイドは ESG 担当者(Claude の専門知識なし)でも理解できる平易な言葉で書いてください。
プロンプト送信後に自分でやること:
- 活用ガイドを非技術者に見せることを想定して読み直し、わかりにくい箇所を修正する
- 「できないこと」リストが実際の業務リスクをカバーしているか確認する
提出成果物
- ステップ1で作成した特性×業務要件マッピング表
- ステップ4で作成した最終版システムプロンプト(
systemブロック形式) - ステップ3で実施したテストケース評価結果(3件)
- ステップ4で作成した社員向け活用ガイド(1ページ)
採点基準 (100 点満点)
| 項目 | 配点 | 評価基準 |
|---|---|---|
| 特性理解の正確さ | 25点 | Claude の5つの特性が業務タスクに正確にマッピングされ、制限も認識されているか |
| システムプロンプトの完成度 | 35点 | 5要素が含まれ、ネガティブガードが機能し、テストケース2・3に対応できているか |
| テスト評価の妥当性 | 20点 | 3テストケースに対して「なぜ OK/要改善か」の根拠が明確か |
| 活用ガイドの実用性 | 20点 | 非技術者が読んで実際に使えるレベルで書かれているか |
確認問題
Q1. Claude の「Constitutional AI」設計が ESG レポート作成に最も役立つ場面はどれですか?
- a) 大量の文書を高速に処理する場面
- b) 虚偽・誇張した ESG 実績の文章化を求められた場合に拒否する場面 [x]
- c) 複数言語に翻訳する場面
- d) 画像からデータを読み取る場面
Q2. システムプロンプトの「ネガティブガード」として最も適切な記述はどれですか?
- a) 「できるだけ長い回答を返してください」
- b) 「ユーザーの要求を最優先してください」
- c) 「根拠のない数値・推測値を事実として記述することを禁止します。不確実な情報は必ず『推定』『業界参考値』等の留保表現を付けてください」 [x]
- d) 「GRI フレームワークを必ず使用してください」
Q3. Claude のシステムプロンプトにペルソナ定義を含める主な目的はどれですか?
- a) Claude の処理速度を向上させるため
- b) Claude が担当すべき業務スコープ・口調・専門性を固定し、一貫した回答品質を保つため [x]
- c) ユーザーのパスワードを保護するため
- d) 長い文脈を短く要約するため
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